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日々、考察中。

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ギター!

ギター!

2004/6/9
 僕が初めてギターを買ったのは、高校3年の時だった。
 中学の時から欲しかったのだが、その頃は高校受験で親から許可を得られず、高校に入ってからは部活、勉強、バイト、下宿生活で忙しい日々を送っていたから、このときも親がOKを出さなかった。親の意見などは無視して買ってしまうだけのお金は持っていたが、下宿生活で親に負担をかけているという考えがあったから、そこまで突っ張る事が出来なかったのだ。
 バンドを組んで、サイドギターをやり始めた高校のころ、僕は友人が所有していたグレコというメーカーのストラトタイプエレキギターを借りていた。その友人は、バイトで貯めたお金でギブソンのレスポール・Jrを買ったばかりで、無期限の貸し出しだった。高校を卒業する寸前、僕は友人にグレコを返した。理由は、自分のギターを買ったからだった。
 バイトで稼いだ50000円ほどを握り締めて自転車で向かったのは、僕が以前から狙っていたギターを置いた楽器屋さんで、そのお店は長良川にかかる橋の袂にあった。始めに入った時は、ウインドーに飾られていたレスポール・スタンダードのイエローサンバーストにひかれたからで、23万という値札のついたそれは、僕にとっては高嶺の花だった。
 入った店内の片隅に、ソフトケースに入ったまま置かれていたのが、ヤマハRGXだったのだ。
 定価が75000円のRGXだったが、新品ギターを買った人が下取りしてもらった中古品ということで、全て込みで50000円だと、店の人は言った。僕の全財産をはたけば買える。しかも、卒業寸前で親のOKはほとんどもらったといってもいい。「明日、また来ます。売らないで。」僕はそう言って、全速力で自転車をこいで帰った。
 次の日、全ての難関をクリアして楽器屋に着いた僕の顔は、間違いなくにやにやしていたであろう。5万円を店の人に渡して、サービスで付けてくれるという弦のゲージをレギュラーと指定して、ソフトケースを担いで店を出た時、僕の体には興奮の震えが走った。僕のギターなのである。
 帰ってからやることはいっぱいあった。フライブリッジを浮かせたくない僕は、スプリングの本数を5本にした。弦高を低めにセッティングする。チューニング。貧乏人の味方、音叉を鳴らして口にくわえる。僕のRGXは、息を吹き返しつつあった。
 RGXでの最初のライブは、街中のライブハウスでの定期ライブだった。10バンドぐらいが所属(?)していて、隔週ぐらいのペースで4バンドがライブを行うのだ。もちろんチケットは手売りで、僕らはノルマのチケット枚数をクリアするために学校の友人を当たりまくった。
 RGXデビューライブの2曲目、ブルーハーツの"No、No、No"で、1弦を切った。そのままひき続けて、歓声をうけた。調子に乗った僕は、同じ曲の最後でいつもより深めのカッティングをして、2弦まで切ったのだった。
 そんなふうにして始まったギターライフ。その後数本のギターを買ったり、拾ったり、貰ったり、売ったり、あげたりしているが、はじめからあるRGXはまだ持っている。そして、今後も手放す事はないだろうと思う。




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